韓国世論調査会社リアルメーターのおかしな設問

 先ごろ韓国の世論調査会社リアルメーターは、憲法裁判官候補の李美善(イ・ミソン)氏について、「不適格」との意見が55%に達し、「適格」の29%を大きく上回ったとの調査結果を発表した。共に民主党イ・ヘチャン代表は翌日、「重大な欠格事由はない。(世論調査をやり直せば)もっと良い数字が出るはずだ」と述べた。イ代表の主張に沿うかのように、リアルメーターは2日後、李氏の任命について、「賛成」(43%)、反対(44%)という調査結果を発表した。数字の上で情勢が様変わりした格好だ。その直後、外遊中の文在寅ムン・ジェイン)大統領は電子決裁で李氏の任命を強行した。与党の意向に沿った世論調査が任命の正当性を支えた格好だ。

 

[http://www..com/:title]

 

 しかし、質問の内容が変わったから結果が変わっただけであって、世論が変わったわけではなかった。リアルメーターの初回調査での設問は「李候補者の憲法裁判官についてどう思うか」だった。そして、2回目の調査は「文大統領が聴聞報告書を国会に再度求めた。文大統領が李候補者を憲法裁判官に任命することについてどう思うか」だった。

 世論変化を見るためには、同じ設問を繰り返すというのが基本常識だが、あえて常識を破り、設問を変えた。李候補者を「不適格」だと考える人も大統領が任命すると決心した現実を考慮し、「賛成」と答える可能性がある。特に、2回目の調査の質問には「文大統領」が2回登場する。まるで任命に賛成するよう文大統領の支持層を誘導する総動員令を発したような表現だ。実際に李氏に対する文大統領支持層の肯定世論は54%から77%に上昇した。
 さらに深刻なことは「意のままに世論をごまかし、意に沿う世論にだけ従う」という独善的な国政運営だ。李氏の任命について、文大統領不支持勢力は最後まで大多数(83%)が否定的だったが、彼らを説得しようという努力はほとんどなかった。無論文大統領の支持層、反対層がいずれも納得するような候補者が立てられたわけではなかった。このほか、中小ベンチャー企業部(省に相当)の朴映宣(パク・ヨンソン)長官、金錬鉄(キム・ヨンチョル)統一部長官の任命に関しても、文大統領の支持層は82%が賛成したが、不支持層は81%が反対だった。ここでも反対派の意見は徹底的に無視された。所得主導成長に関しても、今年2月にエムブレーンが実施した調査で、文大統領の支持層は「引き続き推進」(64%)が多数だったのに対し、不支持層は「見直しまたは再検討」(85%)が圧倒的だった。政府は経済政策も支持層の意見ばかりを聞いている。

 

[http://www..com/:title]

 

 与党は20年、50年、100年の政権担当論をぶち上げたかと思えば、最近は総選挙で300議席中260議席を獲得すると言いだした。こうしたとんでもない発言を繰り返すのも支持層の結束にしか関心がないためだ。その過程で政府の考えに同意しない国民はまずます疎外されている。原則を無視する世論調査と一方の意見だけを聞くという権力が韓国社会をさらに分裂させている。

洪永林(ホン・ヨンリム)世論調査専門記者

 

 

[http://www..com/:title]

 

 

[http://www..com/:title]